最高裁判所第三小法廷 平成6年(オ)2108号 判決 1998年11月10日
上告人
馬越フミヨ(X)
(ほか一五三名)
右一五四名訴訟代理人弁護士
外山佳昌
井上正信
阿波弘夫
石口俊一
同訴訟復代理人弁護士
恵木尚
小笠豊
相良勝美
佐々木猛也
島方時夫
二國則昭
馬渕顕
原田香留夫
服部融憲
木山潔
被上告人
国(Y1)
右代表者法務大臣
中村正三郎
被上告人
広島県(Y2)
右代表者知事
藤田雄山
右両名指定代理人
本針和幸
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理由
上告代理人外山佳昌、同井上正信、同阿波弘夫、同石口俊一、同復代理人恵木尚、同小笠豊、同相良勝美、同佐々木猛也、同島方時夫、同二國則昭、同馬渕顕、同原田香留夫、同服部融憲、同木山潔の上告理由について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足りる。これによれば、因島保健所長が多数の骨関節結核患者が現われたことを知った後に執った措置は、その当否について批判を招く余地があり得るとしても、骨関節結核の特性、その当時における医療関係者の認識及び知見、因島保健所に寄せられていた情報等に照らし、本件において、広島県知事又は因島保健所長が上告人らの主張する時期にその主張に係る措置を執らなかったことが、法的な作為義務に違反するとまでは認めることができず、上告人らの被上告人らに対する国家賠償法に基づく損害賠償請求は理由がないとした原審の判断は、是認することができる。原判決には、その措辞適切を欠く点がないではないが、所論の違法があるとはいえない。右判断は、所論引用の判例に抵触するものではない。論旨はいずれも採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 金谷利廣 裁判官 園部逸夫 千種秀夫 尾崎行信 元原利文)
【上告理由】略